名興文庫相談役 堅洲 斗支夜
まず初めに、今回のこのまとめと詳細な時系列を提示するに至った理由を説明する。当文庫へのアンチ的な活動をする人々が散見される昨今、権利者の存在する著作物はより慎重に扱う必要があるのは当然の事であった。
当文庫にとってはアンチ的な人々の存在は厄介であると同時に入念な組織運営とチェックを励起する一助ではあり、全てが無価値とは言い切れない受け止め方をして運営に役立てている面がある(そうするしかないとも言えるが)。一方で、だからこそ万事慎重に成すべきところをいい加減にしたのではより大きな炎上に至る事は一般感覚として胸に留め置くべきである。この前提をもって本まとめを精読していただければ幸いである。
不自然な案件の浮上
『ボウモアと海』は名興文庫の新スタートにおいて、『ローンチタイトル』と言えるファンタジーの大作三作品を掲げて順次刊行していく、という話が整った後に、旧代表と担当者から持ち上がり、寝耳に水のように現れた企画であった。全てが終わって俯瞰できる今となっては何のことはない、担当者の組織のマーケティングを無視した独断専行の面が強かっただけである。
権利関係の整理の不履行と報告の不履行
作者様からはまず初めに『刊行は問題ないが権利関係をクリアに』という話が出ていたようだ。ようだ、というのは問題発覚後、現代表が作者様へ状況説明のDMを送った際に浮上した事実だからである。これは作者様、権利者様および文庫に対する担当者の重大な責任と業務の不履行と言われても仕方ないであろう。
表紙イラストのトレス
権利者様への確認がなく、権利関係をクリアしたとはとても言えない状態で、さらに表紙がほぼトレスであった。何度かの確認の間も担当者は皮肉まで交えて手書きイラストと言っていたが、これは虚偽でありトレスであった。係争によって専門家の判断を仰がなければ確かに現時点では『違法ではない』とは言えるかもしれないが、それは屁理屈であり、作者様との約束を履行しない、権利者様に確認をしない、表紙絵が権利侵害と指摘されるようなトレス、という時点でお話にならない状態であり、担当者に任せておける状態ではなくなった。
職務放棄と正当化
最終的に、担当者はなんら対応も責任も取らず、一方的に当文庫を脱退した。権利者様及び作者様からは温かい言葉をいただいたが、とてもそれで無かった事にできるような話ではない。文庫としては担当者の仕事があまりにひどい為に詳細の公開をしなかったが、最近になって担当者が自己正当化の著しい発言をしているため、ここに全てを開示することとした。
総括
以上が、『ボウモアと海』の出版停止の偽りなき詳細である。『ボウモアと海』は二巻まで書籍化作業が進んでいたが、二巻及びそれ以降も権利者の存在する商品名が多く登場するため(これも担当者が私たちに報告すべきであった)、権利関係のクリア及び内容の改編も限度があるとして書籍化は停止とさせていただいた。なお、このプロジェクトは旧代表と担当者が主体で急に浮上したものであったために、今回の騒動は新代表も相談役も面倒ごとだけ担当させられたような状態であったことを付け加えておくし、作者様、読者様は本当に一方的な被害者となってしまった。
ここで、改めて作者様と読者様、権利者様に深い謝罪の意を表明すると同時に、文庫としては作者様に今回の不始末を雪ぐ意味でもしっかりした仕事をさせていただく事を石刻の志をもってお伝えした。
また、一相談役としてはここ二年ほどでweb小説界隈の人材の能力および気質の分布域をほぼ把握できたため、これは今後の組織運営に大いに役立てさせていただき、引き続き閉塞したwebの小説界隈を改変していく糧とするものである。